優しさと誠実

ごめんなさい、いきなりネタバレです。
 

「飢える者、迫害される者、分別なき者」

南京攻略後、アルフが勝手に俸禄を分け与える時の台詞。
それらの者がいる限り、山軍は永遠だと誓うアルフ。

前回鑑賞の時に、ん？と思ったんだけど、この中の「分別なき者」
これは青雲への言葉？
三者とも弱者への言葉と思い込んでいて、聞き逃してたみたい・・・・

「飢える者、迫害される者」を守るために戦い、「分別なき者」に屈しないよう戦う。

これってやっぱり、捕虜兵に対して（アルフから身たら）「分別ない行動」をとった
青雲に対しての言葉よね？

そこに注目して今日は見てきたの。

二人の最初の衝突は、少年たちの公開処刑。
でもこの時はアルフも納得出来たんだと思う。
「正義のために殺す事もあるとわかった」と言い、墓前に跪く青雲の肩に手をかけたのは、
その思想を理解まではいかずとも納得した事を表してる。

次は捕虜を殺した時。
それが原因で蘇州で離反する時には、青雲を「お前」と呼び、約束を違えたら「殺す」とまで言った。

（納得なんか出来ない。
俺とお前の考えは違う。
でも青雲は刀を置くと言った、それを信じたい。
お互いとも譲歩すべきなんだろう。
兄を立ててやりたい気持ちもある。
うーやんにも応えてやりたい。
青雲のやり方を理解は出来ないが、まだ彼を信じたい気持ちはある。
だからチャンスをやった。
俺は見てる。）
以上、アルフの心の声

ところが南京攻略後、亡くなった仲間達に名誉と俸禄を渡したかったアルフと青雲は衝突する。
犠牲になった兄弟達に対して、動こうとしなかった青雲へのあれは痛烈な批判だった。
あの時も、そして今回も「分別ない」事をした（とアルフには思えた）青雲に。

あの時の二人は、本当に対立していた表情だった。
修復不可能と思えるほどに。

しかしアルフは、やはり青雲を嫌いにはなれなかった。
裏切りを持ちかけられて、改めてわかったのだと思う。

（二人の間には随分と溝が深まってしまったけど、三人が心を合わせ共に戦った日々は
嘘ではなかった。
このまま南京にい続けて対立を深めたくはない。
それに何より自分の生き方を変えることは俺にはできない。）
以上、アルフの心の声

「分別なき者」と言った時が青雲への反発のピークだったのだろう。
怒りにまかせて青雲への批判を口にしてしまったアルフは、自ら南京を離れる決意をした。
それは青雲に対する優しさと、自分自身に対する誠実さ。

今日はそんなアルフの思いに心を打たれた。